仏壇を処分する決断は、多くの方にとって重いものです。それは単に家具の一部を手放すという行為を超え、故人への思いや家系の伝統と向き合うことを意味しています。この記事では、仏壇処分を検討する際に知っておくべき基礎知識から、関連する費用に焦点を当てて解説していきます。
目次
仏壇処分をするうえでした方がいいこと
仏壇を処分することになった際、まずはした方がいいことを3つ紹介します。
家族と親族への確認・相談
まず真っ先にやった方がいいことは、家族や親族への確認・相談です。仏壇は多くの場合、ご先祖様を敬うために設置されており、家族にとって深い意味を持っています。そのため、一方的に処分を決定するのは避けるべきです。
特に、故人を偲ぶ気持ちや、仏壇に対する愛着は人それぞれです。家族がどのように感じているかを話し合い、そのうえで処分する理由等も話すようにしましょう。
仏壇を親族に無断で処分してしまうと、後々トラブルにもつながりかねません。ここのプロセスは慎重に行うべきだといえます。
閉眼供養(魂抜き)
仏壇を処分する際には、僧侶を招いて「閉眼供養」を行うことが一般的です。閉眼供養とは、仏壇に宿る魂を抜く儀式のことで、「魂抜き」ともよく呼ばれます。
閉眼供養を行わずに仏壇を処分することは一般的には罰当たりとされ、仏壇を引き取ってくれる専門の業者でも閉眼供養を経ていない仏壇は引取拒否をする場合も多くあります。そのため、この儀式は必ず行うようにしましょう。
仏壇処分をした後のご先祖様の供養
仏壇を処分した後は、ご先祖様の供養について考えることが大切です。仏壇の有無にかかわらず、亡き人やご先祖様とのつながりを考え、どう供養していくのかは考えなくてはいけない問題です。
また、仏壇の中には亡き人そのものとして扱われている「位牌」が並べられているため、この位牌の今後についても考える必要があります。今の仏壇を処分した後は、お寺に位牌を預けて「永代供養」をしてもらうという選択肢もあります。
仏壇処分の方法とそれぞれに依頼する際の料金相場
仏壇の処分方法にはいくつかの選択肢があり、ここでは4つの選択肢についてご紹介します。
お寺に依頼する方法
一部のお寺では、閉眼供養の後でお寺が仏壇を持ち帰ってくれる場合もあります。しかし、これはお寺との関係性がしっかり築けている場合などに限ることが多いようです。
もしお寺に相談してみて、引き取ってもらえるようでしたら、依頼するのも良いかもしれません。
仏具店に依頼する方法
仏具店に依頼する方法は、一番メジャーなケースです。多くの仏具店は、仏壇に関する知識が豊富なプロなので、一番安心感も高く、スムーズに行うこともできるでしょう。
仏具店に依頼する際には、まず依頼したい仏具店に相談し、手順や日程などについて確認するようにしましょう。その際、仏壇のサイズや出張費、処分費用などよって料金は変動しますが、おおよそ料金相場は3万円から10万円程度である場合が多いようです。
自治体の粗大ゴミとして出す方法
閉眼供養を行っていれば、実は仏壇はただの木箱扱いになり、粗大ゴミとして処分することができます。処分費用も自治体によって異なりますが、数千円程度で収まる場合が多いようです。
仏壇を粗大ゴミとして出すためには、多くの自治体では事前に問い合わせが必要です。多くの自治体では、電話やインターネットを通じて手続きが可能なため、収集日や料金を確認し、指定された方法で申し込むようにしましょう。
遺品整理業者に依頼する方法
遺品整理業者に依頼する方法は、まず信頼できる業者を選ぶことが大切です。仏壇の処分に関する実績が多かったり、口コミや評価を参考にするのも良いでしょう。
依頼する業者を選んだら、実際に連絡して依頼内容を伝えましょう。仏壇の大きさや状態、処分希望日などを伝えることで、事前に見積もりを出してもらうことができます。
遺品整理業者に依頼するメリットとしては、とても手軽なことです。自宅まで回収に来てくれるので、自分で重たい仏壇を運搬する手間などを省くことができます。
また、遺品整理業者は遺品関連の処分の経験が豊富で、仏壇を含む遺品の処分に慣れています。仏壇以外にも処分を依頼したい物、どうしたらいいのか分からないものを相談することもできますので、安心感が得られます。
仏壇処分の流れと業者依頼時の注意点
仏壇を処分する際の流れは、いくつかのステップに分かれています。
STEP1.まず最初に、閉眼供養をしましょう
閉眼供養をしておくことで、仏壇としての役目を終え、処分可能なものとして扱うことができます。
STEP2.仏壇の中身を整理しましょう
仏壇の整理を行い、仏具や引き出しの中の思い出の品を取り出します。仏壇以外にも処分するものが出てきたら、その処分についても親族の多型と話し合うことをお勧めします。
STEP3.処分をお願いする依頼先を見つける
業者に依頼する際には、必ず事前に見積もりを依頼し、どこまでの作業を含めた料金なのかを確認するようにしましょう。中には悪徳な業者も存在するため、見積り外の大きな費用を作業後に請求してくるなんてケースもあります。そういった被害にあわないようにするためにも、事前に確認を怠らないことは大切です。
仏壇の処分方法 | 注意点(浄土真宗の場合)
仏壇の処分方法や手順は、宗派や地域によって異なる場合があります。例えば、浄土真宗では仏壇に魂が宿るという考え方を持たないため、閉眼供養(魂抜き)の代わりに「遷座法要」を行います。
一方、他の多くの宗派では、仏壇を処分する前に閉眼供養を行うことが一般的です。また、地域によっては仏壇の処分方法や費用が異なる場合があります。そのため、仏壇の処分を検討する際には、まず自身の宗派や地域の慣習を確認し、菩提寺や専門の仏具店に相談することが重要です。
浄土真宗の場合
浄土真宗の仏壇処分においては、他の宗派と異なる独自の考え方や手順があります。以下に詳しく解説します。
①浄土真宗の仏壇観
浄土真宗では、仏壇そのものに「魂が宿る」という概念がありません。そのため、仏壇を処分する際に他宗派で行う「閉眼供養(魂抜き)」は不要とされています。仏壇はご本尊(阿弥陀如来)の教えを尊び、日々感謝を捧げるための場所であり、特別な霊的存在が宿るという考え方はないのです。
②処分前に行う儀式「遷座法要」
閉眼供養の代わりに行われるのが「遷座法要」です。これは、ご本尊や位牌を新しい仏壇や寺院へ移す際に行う儀式です。この際に僧侶を招き、感謝の気持ちを込めて法要を執り行います。
遷座法要の費用は、依頼する寺院や僧侶により異なりますが、一般的には1万円から3万円程度のお布施が目安です。
➂仏壇の処分方法
浄土真宗では、仏壇が「魂の宿る特別なもの」とされないため、一般的な方法での処分が可能です。遷座法要を済ませていることが条件ですが、具体的には以下の方法があります。
- 仏具店や専門業者への依頼
- 自治体の粗大ゴミとして捨てる
- 信頼できる遺品整理業者への依頼
➃ご本尊や位牌の取り扱い
処分に際しては、仏壇の中に祀られているご本尊や位牌の取り扱いに注意が必要です。
ご本尊(掛け軸や木彫りの阿弥陀如来):遷座法要後に新しい仏壇や寺院に安置します。
位牌については、寺院に相談し、永代供養を依頼するか、新しい仏壇で引き続き祀るかを決めます。
⑤浄土真宗における注意点
浄土真宗は地域や寺院によって方針が異なる場合があります。そのため、仏壇処分を検討する際には、まず菩提寺に相談することが重要です。また、感謝の気持ちを込めて処分することで、仏壇を長年使用してきた家族にとっても納得のいく処理方法となります。
仏壇の処分方法 | 注意点(その他の宗派ごと)
仏教の宗派によっては、仏壇やその処分に独自の考え方や儀式が存在します。以下に主な宗派ごとの特徴を挙げます。
1. 浄土宗
・閉眼供養は基本的に必要
浄土宗では仏壇に「魂が宿る」とされており、処分する際は僧侶を招いて閉眼供養(魂抜き)を行うのが一般的です。
・お経を唱えることが重要
阿弥陀如来の念仏(南無阿弥陀仏)を唱えることが重視され、閉眼供養時にもこれを唱えることで仏壇を浄化します。
・位牌や本尊の取り扱い:
位牌は処分せず、お寺や新しい仏壇に移すことが推奨されます。
2. 天台宗
・閉眼供養の実施
仏壇は魂が宿る聖域とみなされるため、閉眼供養が必須です。天台宗の僧侶による読経が行われます。
・仏具や仏像も供養の対象
仏壇だけでなく、仏具や掛け軸なども供養対象として扱われます。仏壇の中身も一緒に浄化する儀式を行います。
・地域差に注意
天台宗は地域ごとの慣習に基づく場合が多いため、菩提寺に詳細を相談するのが良いでしょう。
3. 真言宗
・仏壇の魂抜き(閉眼供養):
真言宗では仏壇は家と先祖をつなぐ重要な存在であるため、閉眼供養が重視されます。僧侶の読経によって仏壇に宿る魂を浄化します。
・火供養の実施
真言宗では「火供養」と呼ばれる儀式を行う場合があります。仏壇や位牌を火で清め、役目を終えたことを確認します。
・密教の影響:
仏壇処分の際に特定のマントラ(真言)を唱えることが習慣化している地域もあります。
臨済宗・曹洞宗(禅宗)
・閉眼供養が基本
禅宗でも仏壇を処分する際は閉眼供養を行います。仏壇の中に祀られているご本尊や位牌を供養してから処分します。
・簡素な供養も可能
禅宗は質素な生活を重んじる宗派であるため、閉眼供養も簡素に行われることがあります。ただし、菩提寺によって形式に差があります。
・先祖供養の継続
仏壇がなくなった後も、位牌を新しい仏壇に移すか、お寺に預けて供養を続けることが推奨されます。
5. 日蓮宗
・魂抜きの代わりに御本尊の移動
日蓮宗では仏壇を処分する際、まず御本尊(南無妙法蓮華経の掛け軸や仏像)を新しい仏壇や寺院に移します。これが魂抜きに相当する作業とされます。
・御題目の唱和
仏壇処分の際に「南無妙法蓮華経」を唱えることで、仏壇の役目を終わらせます。
・お寺の指示が重要
日蓮宗は地域や寺院による指示が特に強調されるため、処分前に必ず菩提寺に相談することが大切です。
6. 時宗
・閉眼供養は一般的
時宗でも、閉眼供養を行うことが一般的です。僧侶の読経による供養で仏壇の浄化を行います。
・阿弥陀如来の祈り
処分時には「南無阿弥陀仏」の念仏が唱えられ、仏壇が聖域としての役割を終えるよう祈ります。
宗派を超えた共通の注意点
・菩提寺への相談が最優先
各宗派に独自の規則があるため、処分に際しては必ず菩提寺や所属する寺院に相談しましょう。
・費用の確認
閉眼供養や遷座法要の費用は寺院によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
・仏壇のサイズや状態を確認
仏壇のサイズや形状によっても処分方法が変わる場合があります。専門業者や寺院に適切な方法を尋ねるのが良いでしょう。
まとめ
仏壇の処分は、慎重に行う必要がある重要な作業です。しかし、処分を一人で全て抱え込もうとすると、複雑かつ考えることも多いので、疲弊してしまうでしょう。
そのため、仏壇の処分で一番重要なのは、一人で抱え込まず、相談先を作ることです。親族で相談できる人がいなかったり、忙しくてなかなか話が進まないといった場合には、処分を代行してくれる業者に依頼してしまうのがおすすめです。
弊社でも、仏壇処分のお手伝いを行っておりますので、なにかお悩み等ございましたら、お気軽にご相談ください。
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