お墓の生前整理とは?これからの終活の新常識

近年、終活の一環として生前整理の重要性が高まっています。しかし、「お墓」も生前整理の一部として考える意識は、まだ十分に広がっていないのが現状です。今回の記事では、お墓の生前整理をするメリット、墓じまいの具体的な流れ、生前墓についてなどを詳しく解説します。

生前整理とは

生前整理とは、自分に万が一のことがあった時に備えて、身の回りの物や財産などを生きている間に整理し、処分しておくことを指します。似たような言葉に「遺品整理」がありますが、こちらは亡くなった後に自分以外の方が行うものなので、どのタイミングで行うかによって、呼び方には違いがあります。

お墓の生前整理をするメリット

生前から自分のお墓の整理をするというのは、なかなか受け入れられないと思われる方もいるでしょう。

しかし、お墓の生前整理には以下のようなメリットもあり、近年ではお墓の整理をする方も増えてきています。

家族の負担軽減につながる

お墓の生前整理は、ご家族の将来的な負担を軽減することができます。

自身が亡くなった後で、ご遺族が1からお墓のことをどうするか考えるのは大変な労力にもなり、場合によっては親族間でのトラブルにつながる可能性も考えられます。

そのため、事前に自分のお墓・納骨・埋葬方法などに関する希望などを決めておき、準備を進めておくことは、将来のご家族への思いやりにつながります。

自分の希望を伝えられる

生前から自分でお墓に関することを整理しておくと、様々なことで自分の希望を反映することができます。

たとえば、新しくお墓を建てる場合には、自分で好きなデザインや色のお墓を選ぶことが出来、近年では多様化している埋葬方法についても、自分が希望する方法を選ぶことができるかもしれません。

相続税の対策になる

お墓を生前から準備すると、相続税の対策にもなります。

相続税は、基本的に亡くなった人の財産をご遺族が受け継ぐときに発生する税金のことを指します。しかし、生前からお墓やお墓の建っている土地については、「祭祀財産」と呼び、課税対象にはなりません。

つまり、生前にお墓を準備しておくことで、ご家族が負担するべき相続税を節税することができます。

生前整理で行う墓じまい流れ

お墓を引き継ぐ人がいない場合、先祖代々のお墓を墓じまいする必要が出てくる場合もあるでしょう。

この章では、墓じまいをする際、具体的にどういった流れで進めていけばいいのかをご紹介します。

①新しい納骨先を探す

墓じまいの際、遺骨をどうするかを決める必要があります。親族間で話し合い、立地や予算などを考慮して新しい納骨先を決めましょう。

決定後は、納骨先の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。また、納骨先が古い遺骨を受け入れない場合もあるため、事前確認が重要です。

②お寺・霊園に墓じまいを伝える

新しい納骨先が決まったら、現在のお寺や霊園に墓じまいを伝え、「埋葬証明書」を発行してもらいます。お寺に伝える際には、檀家をやめることになるため、感謝の気持ちを伝えて穏便に話を進めましょう。霊園の場合、解約手数料が発生することもあるので、事前に確認しておきましょう。

③墓石の撤去業者を探す

墓じまいには墓石の撤去が必要です。石材店に依頼することが一般的で、見積もりを取って比較すると費用を抑えられます。口コミサイトで評価を確認することも一つの手段ですが、客観的に見ることが大切です。

④改葬許可の申請手続き

墓石撤去業者が決まったら、遺骨を移すために「改葬許可証」を申請します。許可証は自治体で発行され、必要書類として「受入証明書」や「埋葬証明書」が必要です。事前に必要書類を調べ、確認しておきましょう。

⑤閉眼供養を行う

墓じまいをする前に、まず「閉眼供養」を行います。閉眼供養とは、お墓の改葬や墓じまいの際に、お墓に宿っている故人の魂を抜き取る儀式のことです。僧侶にお経を読んでもらい、お墓に宿った故人の魂を抜き取ります。閉眼供養にはお布施が必要なので、事前に準備しておきましょう。

⑥遺骨の取り出しと墓石撤去

閉眼供養後、お墓の中の遺骨を取り出し、墓石を撤去して更地に戻します。

墓石の撤去作業は、重機が使用できる場合1~2日で完了しますが、手作業の場合は時間がかかります。ご遺骨を取り出すだけならご自身でも可能ですが、撤去作業と合わせて業者へ依頼することもできます。

⑦新しい納骨先へ遺骨を納骨する

墓じまいが終わったら、新しい納骨先に遺骨を納めます。ご遺骨を移す作業は、自家用車で運ぶか、日本郵政のゆうパックを利用して遺骨を移送できます。

日本郵政以外の宅配業者であっても法令上はご遺骨の郵送は可能ですが、引き受けてもらえないのが実情です。一番の理由としては、郵送中の万が一の紛失時に対応が出来ないためです。

ご遺骨はとてもデリケートなものですので、落としてしまわないよう、運ぶ際の衝撃などに注意して運びましょう。

生前墓について

新しくお墓を用意する必要がある場合には、「生前墓」を建てるという選択肢もあります。

生前墓とは、生前に自分自身のお墓を建てることで、近年、終活の一環として人気が高まってきています。一般的には、自分が生きているうちに自分のお墓を建てるということに対して、抵抗感を持つ方も多いと思います。しかし、生前にお墓を建てることを仏教では「寿陵(じゅりょう)」と呼び、子孫繁栄や長寿、家庭円満などの幸福が訪れるとされているので、実は縁起が良いものなのです。

生前墓を用意するメリット

生前墓を用意することには、以下のようなメリットもあります。

1.節税対策になる

自分が生きているうちにお墓の準備をしておくと、そのお墓は相続税の課税対象外となります。それにより、ご家族が払うべき税金の負担を減らすことができます。

2.自分の希望でお墓を選べる

自分の希望でお墓を好きに選べるという点は、生前墓の大きなメリットの一つです。

お墓は、一般的にはご本人が亡くなった後でご家族が選びます。その際には、墓地の場所、形状、費用といった要素を含めて総合的に判断するため、無難なお墓になる場合が多いです。もし、デザインや色に希望があるならば、自分が健康なうちに自分で準備しておけば希望通りのお墓にすることができます。

3.家族の負担を軽減できる

お墓がなかった場合、万が一のことがあったときに、ご家族は1からお墓の場所を探したり費用を工面したりする必要があり、負担がかかってしまいます。

そこで、生前墓を建てることによって、ご家族の負担を軽減する事が出来ます。

お墓の生前整理に関する注意点

お墓の生前整理については、注意するべきことがあります。

自分一人の判断で決めない

お墓に関することは、ご家族からも様々な意見が出てくることが多いため、相談なく故人の判断で進めてしまうと、後々トラブルになる可能性が高いです。一つ一つのことをご家族に相談し、合意を取ったうえでその先のことを進めるようにしましょう。

管理は残された家族がすることを前提に考慮する

自分の希望で建てたお墓だとしても、それを管理していくのはご家族です。管理がしづらいようなお墓を建てたり、立地を選んでしまったりすると、ご家族にはかなりの負担がかかってしまいます。生前墓は、自分の希望とご家族の負担の両方を考慮した上で建てる必要があります。

生前整理のことも遺品整理業者に相談できる

もしお墓以外の生前整理も検討する場合、生前整理に関する悩み相談や作業の代行は、遺品整理業者に相談するのもおすすめです。

遺品整理業者は生前整理のサービスを行っていることも多いため、なかなか身の回りの物の整理が進まない、何から手を付けたらいいのか分からない、忙しくて生前整理をする時間が取れないといった場合にも、必要なサポートをしてもらえます。

遺品整理業者に生前整理を依頼するメリットとしては、時間や手間がほとんどかからないことと、万が一のことがあった際に必要な遺品整理についての知識も豊富なので、遺品整理についての相談もできるという点が挙げられます。

まとめ

お墓の生前整理は、まだあまり一般的に認識されていない部分もありますが、終活の中でも非常に重要な項目です。将来的にご家族の負担を軽減でき、ご自身の希望も反映できます。

実際にお墓の生前整理を行う際には、必要な手続きを確認し、一つ一つご家族と話し合い、お互いの意思を尊重したうえで進めていくことが重要です。相続税対策や家族の負担軽減という実益を考慮すると、早めに準備を始めることをおすすめします。

#生前整理 #墓

この記事の監修者

エコリング不動産
宅地建物取引士・相続葬送支援士・鑑定士
本田 和裕

札幌市で不動産業14年従事、売買取引件数400件以上、不動産仲介・買取からリフォームプロデュース・再販売まで対応可能です。エコリングでは日用品・ブランド品の鑑定・査定も行っておりおウチまるごとの対応が出来ます!

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