遺品整理を行う際、故人の大量の衣類をどうしたらいいか、戸惑ってしまう方は意外と多いのではないでしょうか。
故人が愛用していた衣類だと、思い出や感情が詰まっている思い出の品でもありますので、捨てがたいものばかりで判断に困ってしまうというご相談もあります。
本記事では、遺品整理の際に出てきた衣類をどうしたらいいのか、処分する際の方法や手順などについて詳しくご紹介します。
目次
遺品整理で衣類を処分する前にやっておくべきこと
まず、遺品整理で衣類を片付ける前に、確認しておきたいポイントがいくつかあります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・遺言書やエンディングノートを確認する
遺品整理を始める前に、まずは遺言書やエンディングノートがないかを必ず確認しておきましょう。
遺言書やエンディングノートには、故人が自分の所有物に対する希望や意向が記されていることがあります。特に、エンディングノートに関しては、遺品の対応や処分などをどうしてほしいかを記載する項目が設けられているものもあります。もし、衣類に関して故人の意思がノートに遺されていた場合は、それに従って遺品を取り扱うことが望ましいとされます。
また、遺言書に記載されていた場合は、その内容には法的効力も発生しますので、合わせて覚えておくと良いでしょう。
・家族や親族と事前に相談する
遺品整理で衣類を処分することになったら、事前に親族へ報告しておきます。自分にとっては処分して良いものであっても、他の親族にとっては故人との思い出が詰まった遺品である可能性があります。後々トラブルに発展することがないよう、親族への情報共有は大切です。
・衣類のポケットの内側を確認する
遺品整理を行う際、衣類のポケットの内側は必ず確認するようにしましょう。
意外と抜けてしまいがちな部分ですが、故人が何気なく入れた小物や貴重品が出てくる場合があります。それらも、もしかしたら大切な遺品である可能性もありますので、1着ごとにチェックすることをおすすめします。
遺品整理で衣類を仕分ける際の手順
事前のチェックが終わったら、衣類を整理していきましょう。
ここでは、遺品整理で衣類をどう整理していけばよいかの手順について、具体的にご紹介します。
手順① 残す衣類を決める
衣類を整理する際は、仕分けから始めると作業がスムーズに進みます。
まずは手元に残す衣類を仕分けましょう。残せばいいものかどうかわからなくなってしまう場合には、遺言書やエンディングノートに残してほしいと書いてあったもの、故人が愛用していて思い出深いもの、誰かに譲るものなどを優先的に残していくと判断に困りづらいでしょう。
手順② 処分する衣類を決める
手元に残すものを仕分けられたら、次は処分するものを決めましょう。
故人もしばらく着ていないものや、明らかに傷んでしまっているものは、処分する選択肢もあるでしょう。仕分けが終わった衣類は、一度親族に処分してもいいかどうかをまとめて確認すると効率的です。
手順③ 一旦保留する衣類に仕分ける
遺品整理の際、残すか処分するかでどうしても迷ってしまう衣類に関しては、一旦保留にしておくのも一つの手です。一定期間保留にしておいて、改めて判断するか、親族に相談してみるのも一つの手段です。
ただし、保留にしておくものが多すぎたり、保留する期間が長くなってしまったりすると、遺品整理がいつまでも長引いてしまいます。いつまでに必ず判断するという保留期間の期限を設定することで、遺品整理が終わらないという問題を防ぐことが出来ます。
遺品整理で整理した衣類の処分方法
この章では、衣類を処分する方法の選択肢を6つご紹介します。
形見分けをする
形見分けとは、故人の遺品を家族や親しい友人に分配することです。
衣類も故人の思い出が詰まった立派な遺品ですので、形見分けの対象としてよくあげられるものになります。形見分けを渡す際には、きれいな状態にして渡すのがマナーです。シワや臭いなどが残らないよう、クリーニングに出してから渡すことをおすすめします。
古着屋・リサイクルショップに買い取ってもらう
売れそうな衣類が大量にある場合は、近所の古着屋やリサイクルショップに買い取ってもらうのもひとつの手段です。
売りに出す際は、衣類をきれいに洗濯し、できるだけ臭いや汚れが残らないようにしてから買い取ってもらいます。シワがたくさんついている状態だと、保管状態が悪いとみなされ、買取金額が下がってしまうこともあります。
ネットオークションやフリマアプリに出品する
ネットオークションやフリマアプリに売りに出す衣類でおすすめなのは、人気ブランドの衣類や、リメイクとしても使える着物・和装小物などです。こういった衣類は、1着だけで売りに出しても値段が付く可能性が高く、古着やリサイクルショップにまとめて売りに出すよりも高い値段で売れる可能性があります。
ネットオークションやフリマアプリに出品する際は、売りに出す衣類の写真を撮って投稿します。写真撮影をするときは、衣類の状態が分かりやすく、全体が移っている写真を撮るのがポイントです。生地の傷み具合や虫食い、ヨレなどのマイナスな情報についてもきちんと記載しておくことで、購入者とのトラブルを避けることができます。
寄付する
いらない衣類は寄付をするという選択肢もあります。
衣類の寄付先としてよくあげられるのは、NPO法人や特定非営利活動法人です。こういった団体は、発展途上国の支援の一環として衣類の寄付を受け付けていることが多くあります。
具体的な寄付の流れや方法については、各団体によって様々です。そのため、まずはどこの団体に寄付をしたいかを決め、具体的な流れについてはホームページや問合わせで確認をしましょう。
自治体のゴミとして出す
傷みが激しくもう着られないもの、故人が買ったが、そこまで気に入っていなくてあまり着ていなかった服などは、自治体のゴミとして出してしまうのも良いでしょう。その際は、自治体のルールに従って分別をしたうえで捨てるようにしましょう。
また、捨ててしまう前に一度親族に伝えておくと、トラブルにもつながりにくいでしょう。
遺品整理業者に処分してもらう
遺品整理を遺品整理業者に依頼しているなら、そのまま処分品として引き取ってもらうこともできます。
遺品整理業者に任せれば、リサイクルやごみの分別などのルールに従って適切に処分してくれるので安心して任せることができます。
どうしても捨てられない衣類の対応方法
故人の衣類を整理していると、いらないものではあるけれど、どうしても捨てられないという気持ちが作業を阻む場合があります。そんな時、どんな対処法があるのかを以下にご紹介します。
写真に撮っておく
捨てたくないけれど、保管スペースもないとお困りの方には、写真として残しておくのがおすすめです。写真として残しておけば、衣類自体は捨ててしまっても、思い出としては残すことができます。
故人がファッション好きの方だった場合、衣類がたくさんあると思いますので、それらを1枚1枚写真にしてアルバムを制作し、故人の思い出の品としてとっておくという選択肢もあります。
仕立て直しやリメイクをして使う
まだ着られる衣類があるなら、仕立て直しやリメイクを施して、着用できるようにするのもおすすめです。実際、故人が遺した着物などは仕立て直しをして、誰かが受け継ぐというケースも多くあります。
ブランドものの衣類などであれば、生地がしっかりしていて綺麗な状態を保っていることも多いので、その場合は少しの仕立て直しで着られるようになります。
また、サイズは合わないが柄が気に入っているといった場合には、衣類の生地を使ってクッションカバーやトートバッグなどにリメイクするという選択肢もあります。日常的に使えるグッズにリメイクすると、故人を身近に感じられる瞬間も増えるためおすすめの方法です。
遺品供養(お焚き上げ)してもらう
捨てることが憚られる場合には、遺品供養(お焚き上げ)をしてもらうという方法があります。
お焚き上げとは、神仏に関するものや遺品、不要になったものなどを手放す際に行う儀式のことで、祈祷や読経により品物をお清め・供養し、火で焚き上げます。大切にしてきたものに対して感謝を込めて供養するという意味があり、ただ捨てるよりも故人の愛用品を尊重することにつながります。
お焚き上げの依頼先としては、神社・お寺・遺品整理業者の3つが主に挙げられます。
一般的なのは神社かお寺に依頼するケースですが、お焚き上げの申し込みや費用の把握など、すべて自身で段取りをする必要があります。特に神社やお寺などは、遺品供養(お焚き上げ)の費用が明確に書いていない場合も多く、問い合わせても費用は「お気持ちで」といわれてしまうことがあります。
すでに遺品整理を専門業者へ依頼している場合は、そのまま遺品整理業者に遺品供養(お焚き上げ)まで依頼するのがおすすめです。どこの神社・お寺で供養してもらうかを選ぶことはできませんが、遺品整理したものをそのまま預けて、遺品供養(お焚き上げ)まで一括して行ってもらえるため、ご遺族の負担を最大限減らすことができます。
遺品整理を業者へ依頼する
遺品の衣類を丁寧に処分したい、または自身で行うには遠方で(忙しくて)時間が割けない場合は、遺品整理業者に代行してもらうのがおすすめです。
遺品整理業者は多くの遺品整理の現場を経験していますので、ご依頼の要望に沿った柔軟な対応をしてくれます。
また、遺品整理を優良な遺品整理業者に相談することで、お悩みに応じた適切な対処をしてくれるのも、依頼するメリットのうちのひとつです。
優良な遺品整理業者の選び方
遺品整理を専門業者に依頼するのはおすすめの選択肢ですが、中には悪徳な遺品整理業者なども存在します。
そこで、この章では優良な遺品整理業者を見分けるポイントについてご紹介します。
Point1.料金設定が明確である
まず、料金設定や料金プランが明確に提示されているかどうかに注目します。優良な遺品整理業者はどこまでのサービスを含んでの料金プランなのか、追加で費用が発生するサービスにはどのようなものがあるかなど、明確に提示してあります。
しかし、悪徳な遺品整理業者はそこが曖昧な表記で合ったり、説明が不十分だったりして、曖昧な料金設定を提示している場合があります。不明瞭ということは、そこに書かれていない追加料金が発生する可能性もあるということです。
Point2.見積りの内訳が分かりやすい
遺品整理業者に遺品整理を依頼する際、事前に見積もりを作成してもらいます。
その際、見積りの内訳が細かく記載されているかを確認しましょう。優良な遺品整理業者は、細かく分かりやすいように書いてある一方、悪徳な遺品整理業者は見積りの作りも曖昧であることが多く、最初の見積金額は相場よりかなり安い金額で提示される場合があります。
料金設定と同様に、見積もりに書かれていない追加料金が後で発生する可能性がありますので、事前によく確認し、証拠を残すことが大切です。
Point3.説明が分かりやすく、対応が丁寧である
見積もりを依頼した後に確認しておきたいポイントが、見積もりに対しての説明が分かりやすく、対応が丁寧であるかどうかです。
優良な遺品整理業者であれば、見積もりを作る際、依頼者がどこまでのサービスを望んでいるのかヒアリングし、すべて含んだ見積り額を提示してくれます。見積内容についても説明がしっかりあり、納得できる場合は依頼しても問題ありません。
しかし、悪徳業者はわざと見積り金額を少なく提示し、安さをアピールするような説明をする場合が多いです。そのようなケースは、最初の安い見積り金額でとりあえず契約し、後でご遺族から何か要望があったときには相場以上の追加料金を請求してくる場合があります。
以上の事から、提示された見積り金額だけで判断するのではなく、その内容もしっかりと説明してもらうようにしましょう。
まとめ
今回は衣類の遺品整理についてご紹介しました。
衣類の遺品は、特に故人が洋服好きな方だった場合、数も大量にあり、思い出と紐づいている衣類は、処分がためらわれる場合があります。衣類の遺品の処分方法については、多くの選択肢がありますので、故人の意思や自身の意向を尊重した上で、適切な方法で遺品整理を行いましょう。