家の売却でかかる税金はいくら?課税の種類と節税方法

家を売却するとき、思わぬ税金が発生する可能性があるため、事前に理解しておくことが大切です。本記事では家の売却にはどのような税金がかかるのか、また節税法について詳しく解説します。

家の売却にかかる税金の基礎知識

家を売却する際には、様々な税金が関わってきます。ここでは、売却に伴う税金の種類と発生条件を、具体的に解説していきます。

家の売却で発生する税金の種類

家の売却時に発生する主な税金は以下の4つです。

譲渡所得税

売却によって利益が出た場合に課せられる税金です。この「利益(譲渡所得)」は、家の売却価格から購入時の価格や売却にかかった費用などを差し引いて計算します。譲渡所得税は、売却時に最も大きな負担となる場合が多いため、特に注意が必要です。

登録免許税

登記手続きにかかる税金で、所有権の移転登記や抵当権抹消登記を行う際に発生します。この税金は売主だけでなく、買主も負担する場合があります。特に売主がローンを完済して抵当権を抹消する場合、この登録免許税が必要です。

消費税

通常、個人が自宅を売却する場合には消費税はかかりませんが、不動産を商業利用していた場合や法人が売却する場合には消費税が課されることがあります。したがって、消費税がかかるケースは限られていますが、条件次第で必要になることがある点も覚えておきましょう。

また、個人の自宅の売却自体には消費税はかかりませんが、不動産会社に仲介業務を依頼したり、司法書士に名義変更を依頼する際の手数料には消費税がかかってきます。

印紙税

印紙税は、売買契約書に貼る「収入印紙」にかかる税金です。売却時の契約額に応じて税額が決まっており、たとえば、契約額が500万円以上1,000万円以下なら5,000円、1,000万円を超える場合は1万円以上の印紙代が必要です。

この印紙税は、売買契約を正式に交わすためには必ず必要になるため、売却の手続きの一環として支払うことになります。印紙税は契約書に必要な費用なので、どのような売却であっても必ず発生する税金です。

これらの税金は、売却する物件の条件や売却時の状況によって適用が異なるため、事前に確認することが大切です。

税金が課されるのはどのような場合か

家を売却する際に「税金がかかるかどうか」は、売却で利益(譲渡所得)が出るかどうかによります。この利益が出た場合に、「譲渡所得税」がかかります。

たとえば、家の購入時よりも高く売れた場合や、住宅ローンの返済額が少なく、売却益が大きく出た場合には、譲渡所得税の対象となります。一方、売却額が購入額を下回ったり、譲渡所得が特定の条件を満たした場合には税金が免除されることもあります。特に、長年住んでいた家を売却する場合や、空き家として保有していた物件の売却では、一定の控除が適用される場合があり、税金を大幅に軽減できることがあります。

家の売却には多くの費用や手間がかかりますが、事前に税金の基本を押さえておけば、無駄な出費や誤解を避けられ、より有利に売却を進めることが可能です。

売却利益にかかる譲渡所得税

譲渡所得税は、家を売却したときに得た「利益(譲渡所得)」に対して課される税金です。家を売ったからといって必ず発生するわけではなく、売却によって利益が出た場合にのみ課税されます。譲渡所得税の仕組みを理解しておけば、税負担を軽減する方法も見えてきますので、基本を押さえておきましょう。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算は、「家の売却価格」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて算出されます。具体的に説明すると、以下のような流れです。

  1. 売却価格
    まず、実際に家を売った金額、つまり売却価格を確認します。
  2. 取得費
    次に、家を購入した際にかかった費用が「取得費」として計上できます。これは、購入価格に加え、購入時の仲介手数料や登記費用なども含まれます。購入したときの領収書などを確認すると良いでしょう。
    ただし、購入時の領収書などが残っていない場合や、取得費が不明な場合もあります。その場合には、売却価格の5%を取得費とする「概算取得費」を利用できます。
  3. 譲渡費用
    売却のためにかかった費用も差し引くことができます。たとえば、売却時の仲介手数料やリフォーム代金、測量費用などがこれに該当します。つまり、売却のために支払った費用は、譲渡所得を減らすために役立てられるのです。

計算式としては、

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用

で算出され、この「譲渡所得」に対して税金が課されます。

所有期間による税率の違い

譲渡所得税の税率は、家を所有していた期間によって大きく変わります。これは「短期所有」か「長期所有」かで異なる税率が適用されるからです。

短期所有(5年以下)

売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合は「短期所有となり、税率が高めに設定されます。この場合、税率は39.63%とかなり高いです。短期所有は投資的な売買と見なされるため、一般的に税率が高く設定されています。

長期所有(5年超)

これに対し、所有期間が5年を超えている場合は「長期所有となり、税率は20.315%です。5年超所有していると、長期保有として認められるため、税率が低く抑えられます。

所有期間が5年を超えるまで待って売却すると税負担が軽減されることが多いため、売却タイミングを検討する際の参考になります。

家を売却する際にかかるその他の税金

家の売却時には、譲渡所得税だけでなく、いくつかの税金や費用が発生します。これらの費用は売却手続きに欠かせないもので、最終的な手取り額に影響を与えるため、あらかじめ内容を理解しておくことが大切です。

登録免許税

売却時には、買主に所有権を正式に引き渡すため、所有権移転登記を行います。この際に発生する税金が「登録免許税」です。売却する物件の登記内容を法的に変更するものであり、基本的には売主が負担するケースが一般的です。

登録免許税の額は、売却価格に一定の税率を掛けて計算します。

  • 計算式:不動産の評価額 × 税率
  • 税率:基本的に2%ですが、住宅ローン控除などの適用で軽減措置がある場合も。

たとえば、評価額2,000万円の住宅を売却する際、通常の税率を適用すると、2,000万円 × 2% = 40万円が登録免許税として必要になります。この税額は比較的大きな負担となるため、売却時の費用計画に組み込んでおくとよいでしょう。

消費税

個人が所有する住宅の売却では、一般的に消費税はかかりませんが、以下の場合に消費税が発生します。

  • 商業用の建物や土地を含む場合:一部が事業用として使用されている場合、建物部分には消費税が課されることがあります。
  • 不動産会社に仲介を依頼した際の手数料:仲介手数料には消費税がかかります。
  • 司法書士や不動産鑑定士への依頼費用:登記や名義変更など、プロに依頼するサービス料にも消費税が課されます。

たとえば、仲介手数料が80万円の場合、消費税10%が加算され、最終的には80万円 × 1.10 = 88万円となります。仲介手数料は通常売却価格の数%と高額になることが多いため、消費税の負担も考慮しておくことが重要です。

その他の諸費用にかかる税金

家の売却に際しては、さまざまな手続き費用が発生します。これらも売却計画に含めておくと、売却後の資金計画がスムーズに立てられます。

  1. 仲介手数料
    • 不動産会社に売却を依頼した場合、成功報酬として仲介手数料が発生します。一般的に、売却価格の3%+6万円+消費税が上限として設定されています。
    • たとえば、3,000万円で物件を売却した場合、3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円に消費税10%がかかり、最終的な仲介手数料は約105.6万円です。
  2. 住宅ローンの繰上げ返済手数料
    • まだ住宅ローンが残っている場合、売却代金で完済することが一般的ですが、ローンを前倒しで返済する際には手数料がかかることがあります。この手数料は金融機関により異なり、数千円から数万円が相場です。
  3. 測量費用や解体費用
    • 特に戸建てを売却する際には、土地の境界を確認するための測量費や、古い建物を取り壊すための解体費用が必要になる場合があります。

これらの費用は、売却に伴う手元に残る金額に影響を及ぼすため、あらかじめしっかり確認しておくことが重要です。

家の売却時に使える控除・特例

家を売却する際、譲渡所得税がかかる可能性がありますが、実はこの税負担を軽減できる控除や特例がいくつか用意されています。これらを活用することで、条件を満たせば税金が大幅に軽減される、または全額免除される場合もあります。

居住用財産の特別控除

家を売却する際に多くの人が活用できるのが「居住用財産の3,000万円特別控除」です。これは、その名の通り、自分が住んでいた家を売却した際に最大で3,000万円までの譲渡所得が非課税になるという特例です。この控除は、自分が住んでいた家を売却する際の税負担を大きく軽減してくれるため、一般的なマイホーム売却時にとても効果的です。

10年超所有軽減税率の特例

所有期間が10年を超える家には、税率を軽減する特例が適用されます。これは長期間所有していた家を売却する場合に適用されるもので、税率がさらに軽減されるため、税金の負担が大幅に減ります。

この軽減税率の特例は居住用財産の特別控除と併用できます。つまり、譲渡所得から3,000万円を控除したうえで軽減税率が適用されるため、より大きな税負担軽減効果が期待できます。

空き家の譲渡所得の特別控除

「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、相続した空き家の売却に対して譲渡所得から3,000万円の控除が適用される制度です。高齢者が住んでいた家などを相続した場合、相続後に適切に売却すれば、この特例を利用して税金を抑えられます。この特別控除は、空き家の売却時に税負担を減らせるため、相続後に物件をどうするか悩んでいる場合に大変有用です。

買い替え時の特例

家を売却して新たに住む家を購入する際には、「買い替え時の特例」を使うことで、譲渡所得税を将来に繰り延べできる可能性があります。この特例は、買い替えで出費が増えるタイミングに合わせて売却利益に対する譲渡所得税を将来まで繰り延べることができるため、資金繰りが楽になります。たとえば、住み替えの際に住宅ローンが重なってしまう場合には、この特例を活用することで支出を抑えることができます。

家の売却にかかる税金を抑えるための節税対策

家を売却すると、さまざまな税金がかかりますが、適切な節税対策を取ることで税負担を大幅に軽減することができます。控除や特例をうまく活用し、確定申告を適切に行うことが、家を売る際の重要なポイントです。ここでは、税金を抑えるための具体的な方法について解説します。

控除を最大限に活用する方法

家の売却に関連する税金を軽減するためには、控除や特例を最大限に活用することが非常に重要です。特に「居住用財産の特別控除」「空き家の譲渡所得の特別控除」「買い替え時の特例」については早めにそれぞれの条件を確認し、手続きを進めることが大切です。

確定申告

家を売却した際には、必ず確定申告を行うことが求められます。確定申告を通じて、適用できる控除や特例を受けることができるため、税金を軽減するためには絶対に必要な手続きです。

  1. 確定申告で税金を正しく申告
    売却した年の収入や控除対象を正確に申告し、譲渡所得税や控除を計算してもらうことが重要です。確定申告を忘れてしまうと、控除を受けることができず、税金が余分に発生する可能性があります。
  2. 譲渡所得税の計算を正確に行う
    確定申告を通じて、譲渡所得の計算方法が正確に行われ、譲渡所得税が適正に計算されます。たとえば、取得費用や売却にかかる費用をきちんと申告すれば、税金を軽減できる場合が多いです。
  3. 税務署とのやりとり
    税務署に対して申告を行う際に、適切な書類を提出することが求められます。控除を受けるためには、必要書類をきちんと用意して提出することが必要です。確定申告を専門家にお願いするのも一つの方法ですが、基本的な流れを理解しておくことが大切です。

税金の支払いタイミングについて

税金は売却して得た利益に対して課されるため、税金の支払いタイミングを把握しておくことも大切です。売却後にすぐに税金が発生するわけではなく、申告後に支払うことが基本です。

  1. 確定申告後の税金納付
    家を売却した年の確定申告を行った後、税務署から納付通知が届きます。通常、申告期限から2ヶ月以内に税金を納付する必要があります。納税期限を過ぎると、延滞税が加算されるため、納期限は必ず守りましょう。
  2. 分割納付が可能な場合も
    一括で納税するのが難しい場合には、分割納付を申請することもできます。分割で支払うことができる場合もあるので、納付方法についても相談してみましょう。
  3. 税金の納付タイミングを計画的に管理
    売却後に税金を支払うタイミングをしっかりと把握して、資金計画を立てておくことが重要です。売却益が手元に入る前に、税金が発生する可能性もあるため、あらかじめその準備をしておくと安心です。

まとめ

家の売却に伴う税金は多岐にわたりますが、特例や控除を上手に活用することで税負担を軽減することが可能です。まずどのような税金がかかるかを理解しておきましょう。譲渡所得税や住民税など、売却時に発生する税金は、予想以上に多いことがあります。次に、控除や特例を活用することで、税負担を大きく減らすことが期待できます。自分がどの条件にあてはまるかを前もって調べておくことが重要です。

この記事の監修者

エコリング不動産
宅地建物取引士・相続葬送支援士・鑑定士
本田 和裕

札幌市で不動産業14年従事、売買取引件数400件以上、不動産仲介・買取からリフォームプロデュース・再販売まで対応可能です。エコリングでは日用品・ブランド品の鑑定・査定も行っておりおウチまるごとの対応が出来ます!

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